2025年11月6日に箕面市立メイプルホール大ホールで行われた、大阪フィルハーモニー交響楽団と世界的に注目されている指揮者カーチュン・ウォンによる演奏会に行ってきました!
今回の会場となったメイプルホール大ホールは収容人数501席の比較的小規模なホールで、客席からは指揮者はもちろん、奏者一人ひとりの表情までよく見える、とても親密な空間でした。
箕面駅から箕面メイプルホールまでは、少し歩きますが道中には美味しそうなカフェがいくつかありました!今回の演奏会では、ホールから大通りに出た場所にあるレトロな雰囲気の喫茶店モンキーヒルさんに行きました。席がゆったりとしていて、落ち着いてごはんがたべれました。
今回の演奏曲目は、エルガーの《エニグマ変奏曲》とドヴォルザークの《新世界より》でした。
今回の演奏会に先駆け、音楽評論家の奥田佳道さんのレクチャーのもと《エニグマ変奏曲》のゲネプロ見学会が開催されており、そちらにも参加させていただきました。レクチャーでは、作曲された時代背景や初演された場所、初演の指揮者の説明などがありました。大学でも1つの曲にそこまで深く授業することがないので興味深く、新鮮でした!
この曲は、エルガーの出世作のひとつでありながら、実は全曲演奏される機会は意外と多くない作品だそうです。各変奏はエルガーの身近な人物がモデルになっており、その性格や関係性が音として描かれているようです。
奥田さんのレクチャーの後、実際にゲネプロの見学をしました。指揮者のカーチュンウォンさんは特に、第11変奏に登場する“犬の吠える音”や“風の音”について言及しており、楽譜の背景を丁寧に読み取る姿勢が感じられました。この曲は、終曲に任意で加えられるオルガンが、指揮者の指示によって使用されていたのが印象的でした。
本番では、カーチュンウォンさんがゲネプロで言及していた箇所が見事に具現化され、各変奏ごとの人物像が鮮やかに浮かび上がる表現力に魅了されました。特に第11変奏の犬の声や風の音の表現は想像していた以上で、思わず息をのむほどでした。
後半に演奏された《新世界より》は、作曲者ドヴォルザークがアメリカ滞在中に故郷ボヘミアへの思いを込めて作った作品です。大フィルによる《新世界より》を聴くのは今回が初めてでしたが、1楽章冒頭の静けさは今まで聴いた中で最も深く、作曲者の故郷を思う気持ちが静かに、しかし確かに伝わってきました。強弱の差が明確で、とても聴きやすくプロの技を改めて実感しました。最終楽章では、新天地への希望があふれるような、力強く輝く音色がホールに広がりました。
この日の2曲はどちらも“未来への期待”をテーマにしたような作品でした。実際に演奏を聴きながら、若きカーチュン・ウォンさん、大フィル、そして会場に集まった観客の未来が明るく拓けていくような、そんな希望を感じる演奏会でした。

